バイパス手術 血管内治療が進歩しても、血管が閉塞していてはカテーテルを持ってゆくことができません。そのような患者さんではこの、バイパス手術がとても重要です。 ページ内目次 図1:頚部内頚動脈高度狭窄(A, B)、と閉塞(C)の画像 図2:もっとも多く行われるバイパス手術(STA-MCA吻合術) 図3:バイパス手術中画像 図4:STA-MCAバイパスを行った患者さんの術前(左)、術後2年(右)のMRA画像 図5:STA-MCAバイパスを行った患者さんの術前(左)、術後2年(右)の3D画像 ページの先頭へ戻る 図1:頚部内頚動脈高度狭窄(A, B)、と閉塞(C)の画像 【 図 1 】 Aとその局所拡大図(B)を見ると、血管は細いが詰まっていないことがわかります(細黄色3本矢印)。Cを見ると、それが完全に閉塞 していることがわかります(黄色点線部)。細いケースはカテーテルで広げたり直接きれいにすることが可能ですが、閉塞して時間の経過したものに関しては、そこを通すことは例外的な事例を除き困難なため、バイパス手術を行うことがあります。 ページの先頭へ戻る 図2:もっとも多く行われるバイパス手術(STA-MCA吻合術) 【 図 2 】 左図にある浅側頭動脈(STA)、これは頭皮を栄養する血管で、これがバイパスに使用されることがもっとも多いです。もともとの内頚動脈は閉塞していますが(右図黄色点線)、STA経由で新たな血流が入ることとなり、「バイパス」が形成されます。 ページの先頭へ戻る 図3:バイパス手術中画像 【 図 3 】 A: STAを吻合するのに適切な血管を選択(青矢印) B: その血管を確保、クリップで血流を一時的に遮断 C: 切開する箇所にマーカーをする D: 切開後。血管は血液が抜けると薄い白色 E: 吻合後。矢印はSTA(クリップは外れていることに注意) F: 吻合面を確認しているところ G: ICGという蛍光色素でSTA→MCAへの血流を確認 STA=浅側頭動脈 MCA=中大脳動脈 この患者さんはMCAに高度狭窄があり、その狭窄部よりも 末梢部へ、STAの吻合を行いました。 【 図 3 】 ページの先頭へ戻る 図4:STA-MCAバイパスを行った患者さんの術前(左)、術後2年(右)のMRA画像 【 図 4 】 術前は右の中大脳動脈領域の血管が左側に比べて弱いことがわかります(矢印部分を比較)。2年後の画像では、右中大脳動脈が部分的に描出され(黄色矢印)、STA(赤矢印)が左側のSTA(白矢印)にくらべて非常に太くなっており、血流量の多いことがわかります。 ページの先頭へ戻る 図5:STA-MCAバイパスを行った患者さんの術前(左)、術後2年(右)の3D画像 【 図 4 】 術前は中大脳動脈領域の造影は弱い、というか細々としていますが、右の画像(白色の部分)をみると、術前に比べて血管それぞれがしっかり、末梢まで映っていることがわかります。くねくねと走行するSTA(黄色矢印)が相対的に太く見えます。