脳動脈瘤
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脳動脈瘤とは
無症状であるため、発見される場合は、脳ドックやその他の目的で行ったMRIなどで偶然に診断されます。このように偶然に発見されるもの、つまり破裂していない(出血していない)状態のものを未破裂脳動脈瘤といい、これは成人の約4%に見られると言われています。
脳動脈瘤の問題点
この動脈瘤が問題になるのは、もしも破裂した場合にはくも膜下出血という重篤な疾患を起こす点です。くも膜下出血は約半数が死亡または重篤な後遺症を残す脳血管障害(脳卒中)です。破裂した場合には、救命のために発症当日から数日内に手術が必要になります。
脳動脈瘤破裂の危険性
破裂に関与する要因として報告されているものとしては、サイズが大きい、症候性(動脈瘤によって症状が出ているもの)、年齢、女性、動脈瘤が複数ある、くも膜下出血の既往、喫煙、家族歴にくも膜下出血がある、不規則な形状、bleb(動脈瘤にある微小な膨隆)の存在が挙げられています。まれな大きさですが、25mm以上と大きいものにもなると年間破裂率は約40%とされています。
先に述べましたように、脳動脈瘤は均一な病態ではなく、動脈瘤の部位、大きさ、形状など様々な要素があり、さらに年齢、過去に患った疾患、現在治療中の疾患などもふまえて、手術を受けるかどうか十分な検討をすることが必要です。治療には危険性、合併症も伴います。治療により得られる効果とそれに伴う合併症と、いずれも考えた上で希望される場合に行うべきと考えます。
脳動脈瘤発生の原因
- 血管壁の遺伝的脆弱性
- 血圧、血流のストレスや瘤の増大による壁の薄さなどの力学的要素
- 動脈硬化、炎症、喫煙による血管壁の障害などの生理・病理学的要素
これらの要素が関与していますが、これらを来たす要因もまた様々であると推測されます。
1の血管壁の遺伝性脆弱性に関しては、多発性嚢胞腎、Ehlers-Danlos Ⅳ型、Marfan症侯群、神経線維腫Ⅰ型、α-1 antitrypsin欠損症といった疾患に合併しやすいと言われています。くも膜下出血の家族歴やこれらの遺伝性疾患の存在から、徐々に動脈瘤に関与する遺伝子も明らかになってきていますが、発生の原因は遺伝による一元的なものではありません。他に環境生活因子として、動脈硬化、高血圧、喫煙、大量のアルコール摂取などが後天的に発症率を高めると考えられています。環境生活因子は特に動脈瘤に限った問題ではないため、健康的な生活習慣はすべての疾患の予防に重要です。
脳動脈瘤の治療
脳動脈瘤の破裂防止のための手術には以下の方法があります。
開頭手術
血管内治療