脳動静脈奇形
脳内に動静脈奇形が存在することにより、正常ではまだ動脈が流れている時点で、病変部では既に静脈へと流入しています。それぞれ流入動脈、流出静脈といいます。圧力の高い動脈が静脈へと流れていくため、流出静脈の圧力が上がり、血管は拡張して異常な血管の塊(nidus)を形成しています。
脳動静脈奇形で見られる症状の頻度としては、出血50%以上、てんかん発作25%であり、その他として、頭痛、手足の麻痺や言語障害などの神経症状もあります。
保有する男女比は1~2:1で、やや男性に多く、10~30歳代の発症が多く、全体でも50歳までに発症することが多いとされています。出血を起こすのは20~40歳代が多く、年間の出血率は、今まで出血していない群では約2%、過去に出血を起こした群では約4%とされています。
てんかん発作の管理や脳出血の防止が治療の目的であり、多くの脳疾患と同様に、外科的手術、脳血管内治療、放射線治療があります。これらは症例ごとに最適な治療を検討し、また組み合わされて行われます。脳動静脈奇形の本体であるnidusの大きさ、nidusが脳の表面に近いか深いか、流出静脈が表面に近いか深いかによって、治療の難易度、合併症が変わります。
外科的手術
皮膚を切開し、頭蓋骨を開け、顕微鏡下に血管を分けて、剥離していき、流入動脈を遮断してnidusを剥離し、摘出します。
定位放射線治療
血管内治療